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「どういうこと?」
「一言でいってしまえば、送金伝票を偽造すればいいだけのことなの」奈美江は煙草を二本の指に挟んだまま、こめかみを掻いた。「伝票に金額と送金先の口座を記入して、事務集中課の係長と課長の印を押せばいいわけ。課長は席を立っていることが多いから、無断で判子を使うのは難しくない。係長の職印は偽造したわ」
「それでばれへんの? チェックする人はいないの?」
「資金の残高を示す日計表というのがあるの。経理部職員が、それを点検することになってるんだけど、その職員の印鑑さえあれば、照合済みの書類も偽造可能なのよ。こうしておけば、とりあえずはごまかせる」
「とりあえずって?」
「この方法だと、決済資金が急に減ってしまうから、時間の問睿前k覚してしまうわけ。それであたしは仮払金を流用することにしたの」
「何それ?」
「金融機関相互の送金だとか入金は、振り込みを受けた金融機関が一時的に顧客に立て替え払いした後、相手方の金融機関が決済する仕組みになってるの。その、立て替え払いのお金のことを仮払金といって、どんな金融機関でも特別にプ毪筏皮ⅳ毪铯薄¥ⅳ郡筏稀ⅳ饯韦黏四郡颏膜堡郡韦琛�
「何だか眩jやな」
「仮払金の操作というのは、専門的知識が必要で、長年実務を担当してきた係員にしか全体を把握できないの。大都銀行昭和支店でいえば、あたしということになるわね。だから、本来は経理部や検査部で二重、三重のチェックがされるはずなんだけど、実伲膜摔虾韦猡猡ⅳ郡啡韦护坤盲俊�
「要するに、チェックが規則通りに行われていないということか」
「早い話がそういうこと。たとえばうちの銀行の場合、百万円以上の送金をする時には、役席承認簿に振り込み先と金額を記入して、課長の許可を受けてキ蚪瑜辍ⅴ偿螗豫濠‘タの端末機を操作することになっているの。しかもこの送金結果は、翌日、日報としてコンピュ郡榇颏脸訾丹臁⒄n長がそれを点検すると決められている。ところが、こんなふうにきっちりとチェックされることなんて殆どないのよ。だから、不正送金の伝票やその日の日報なんかは隠してしまって、正常な日の伝票や日報だけを上司に見せておけば、誰も騒いだりはしないというわけなの」
「ふうん。聞くからに難しそうやけど、結局は上司が怠慢やったということか」
「まあそうね。でも――」奈美江は首を傾げ、大きくため息をついた。「真壁さんみたいに、いずれは気づく人が出てくるものなのよね」
「それがわかっていても、不正送金をやめられへんかったんやな」
「うん。麻薬……みたいなものかな」奈美江は煙草の灰を灰皿に落とした。「キ堠‘ドをちょこちょこっと操作するだけで、大金がこっちからあっちへ移動する。まるで魔法の手を持っているような気になっていた。でも全部錯覚だったのよね」
奈美江は最後に、「コンピュ郡蝌_《だま》すのは、ほどほどにしたほうがいいわよ」と友彦にいった。
家には、しばらくバイト先で泊まり込むから、といってあった。友彦は、二つ並んだベッドの片方を借りることにした。まず彼がシャワ蛟·印⒃∫陇蜃扭匹佶氓嗓摔猡挨辘长螭馈¥饯吾幛悄蚊澜啸攻氅‘ムに入っていった。その時にはフットライト以外の明かりは消されていた。
奈美江がバスル啶槌訾皮啤ⅴ佶氓嗓巳毪霘菖浃ⅳ盲俊¥饯欷蛴蜒澶媳持肖锹劋い俊Jxの匂いが漂っているような気がした。
暗闇《くらやみ》の中で、友彦はじっとしていた。眠れそうになかった。とにかく気持ちが高ぶっていた。何とか奈美江を無事に逃がさなければならないという意識が、彼を興奮させているのかもしれなかった。今日は結局、桐原からの連絡はなかった。
「園村君」背中のほうから奈美江の声がした。「眠った?」
「ううん」彼は目を椋Г袱郡蓼薹凳陇筏俊�
「眠れないね」
「うん」
奈美江が眠れないのは当然だろうと友彦は思った。先のことが全く読めない逃避行に出なければならないのだ。
「ねえ」と彼女が再び呼びかけてきた。「あの人のこと、思い出す?」
「あの人?」
「花岡夕子さん」
「あ……」その名前を聞くと平静ではいられなかった。動揺を悟られぬよう気をつけて彼は答えた。「時々」
「そう、やっぱりね」奈美江は予想通りという声を出した。「好きだったの?」
「わからん。あの頃は若かったし」
友彦がいうと、ふふっと彼女は笑った。
「今だって若いくせに」
「そうやけど」
「あの時」と彼女はいった。「あたしは逃げだしちゃった」
「そうやったね」
「変な女と思ったでしょうね。あんなところまで行っておきながら逃げるなんて」
「いや……」
「時々ね、後悔することがある」
「後悔?」
「うん。あの時、帰らないほうがよかったかなって。帰らないで、すべてを成りゆきに任せていたら、生まれ変われたかもしれない」
友彦は唇を椋Г袱皮い俊1伺螀郅酥丐ひ馕钉ⅳ毪长趣媳摔摔猡铯盲俊]X率な受け答えはできなかった。
重苦しい空気の中で、彼女がさらにいった。「もう、遅いのかな」
この問いかけの意味は友彦にもよくわかった。じつは彼も同じ思いに支配されつつあったからだ。
「奈美江さん」ついに彼は思い切って話しかけた。「しますか?」
彼女は黙り込んだ。それで友彦は、おかしなことをいってしまったのかなと思った。だがやがて彼女は訊いた。「こんなおばさんでもいいの?」
友彦は答えた。「三年前から、奈美江さんは変わってないよ」
「三年前からおばさんっていうこと?」
「いや、そうじゃなくて……」
奈美江がベッドから出る気配がした。数秒後、友彦のベッドの中に彼女はもぐりこんできた。
「生まれ変われるといいな」と彼女は友彦の耳元でいった。
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月曜日の朝、桐原が迎えに現れた。彼はまず奈美江に謝った。いい隠れ家が確保できなかったから、しばらく名古屋のビジネスホテルで身を潜めていてほしいというのだった。
「昨日は、そういう話やなかったやないか」友彦はいった。昨夜桐原から、いい場所が見つかったから明日の朝出発しようという内容の電話が入っていたのだ。
「今朝になって、急に都合が悪なった。長い間やないから、ちょっと我慢してくれ」
「あたしはいいわよ」と奈美江はいった。「名古屋なら、昔ちょっと住んでたから土地鑑もあるし」
「その話を聞いてたから名古屋にした」桐原がいった。
ホテルの地下駐車場には、白のマ颏工幛皮ⅳ盲俊%欹螗骏‘だと桐原はいった。仕事に使っているライトエ工騽婴工取ⅴē违猊趣郡沥证筏啶椁坤趣いΑ�
「これ、新幹線の切符。それからビジネスホテルの地図」車に仱贽zんでから、封筒と白いコピ眉垽蛲┰夏蚊澜硕嗓筏俊�
「いろいろとありがとう」彼女は礼をいった。
「それからもう一つ。これを持っていったほうがええ」桐原が紙袋を出してきた。
「何これ?」紙袋の中を覗き込み、奈美江は苦笑した。
友彦も横から覗き込んだ。袋の中には、やたら強いカ毪颏膜堡颗杂盲违磨椁却螭圣单螗哎楗埂ⅳ饯筏匹蕙攻毪盲皮い俊�
「例の架空口座の金を、キャッシュカ嗓扦恧丹胜ⅳ螭浃怼管嚖违ē螗弗螭颏堡胜橥┰い盲俊!袱饯螘rには、できるだけ変装したほうがええ。多少不自然でも、カメラに顔が写らんようにせんとな」
「至れり尽くせりね。ありがとう。使わせてもらう」奈美江は紙袋を、すでに満杯と思われるボストンバッグに押し込んだ。
「向こうへ着いたら連絡してくれよな」友彦がいった。
「うん」と奈美江は笑顔で頷いた。
桐原が車を発進させた。
奈美江を新幹線に仱护酷帷⒂蜒澶贤┰裙菠耸聞账艘丹筏俊�
「うまいこと逃げのびられたらええんやけどな」
友彦がいってみたが、桐原は何とも答えなかった。そのかわりに、こんなことを訊いてきた。
「エノモトとの話、聞いたか」
うん、と友彦は答えた。
「あほやろ、あの女」
「えっ……」
「エノモトは最初から奈美江に近づくつもりやったんや。奈美江の銀行での立場を利用しようと企んだんやろ。彼女が交通事故を起こしてヤクザにからまれたというのも、全部エノモトが仕組んだことに決まってる。そんな単純なことにも気づかへんのやから、どうかしてるで。あの女は昔からそうや。男に溺《おぼ》れて、まともな判断がでけへんようになる」
何もいい返せず、友彦は唾を飲んだ。だがまるで鉛を飲み込んだように胃袋が重くなった。桐原のような発想は全くなかった。
この日、友彦は早めに帰宅した。そうして奈美江からの電話を待った。
だが電話はなかった。
西口奈美江の死体が、名古屋のビジネスホテルで発見されたのは、友彦が彼女を見送ってから四日目のことだった。胸部と腹部をナイフのようなもので刺されていた。この時点で、死後七十二時間以上が経過していると判断された。
奈美江が勤務する銀行には、二日間の休暇届が出されていた。三日目からは無断欠勤となり、行内でも彼女の行方を捜していたという。
奈美江の持ち物の中には、五つの預金通帳が入っていた。そこに入っていた預金総額は月曜日の時点では二千万円をはるかに越えるものだった。それが死体発見時には、殆どゼロになっていた。
銀行が眨麞摔筏拷Y果、彼女は長年にわたって不正送金を行っていた。五つの預金通帳も、その目的に使われたものらしかった。
警察は、西口奈美江が送金していた口座から、会社役員|槺尽钉à韦猡取泛辍钉窑恧贰筏蚝犷Iの疑いで逮捕した。また西口奈美江が殺された事件についても、槺兢蛉·暾{べる方針だということだった。
ただ、奈美江が五つの口座から引き出したはずの金は、まだ見つからなかった。奈美江自身がカ嗓窍陇恧筏郡长趣洗_実だった。現金自動預入支払機の防犯カメラに、変装した女が映っていたのだが、用いられたカツラ、サングラス、マスクが、彼女の荷物の中から見つかっているからだ。
以上の内容を載せた新聞を読んだ後、園村友彦はトイレに駆け込み、胃の中がからっぽになるまで嘔吐《おうと》した。
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第 七 章
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原稿には、渦《うず》電流式探傷コイルの形状、というタイトルが付けられていた。ラジエ骏隶濠‘ブの欠陥を発見する器具に関する特許出願用の原稿だった。それを書いた技術者との打ち合わせを電話で終えた後、高宮栅狭ⅳ辽悉盲俊¥饯筏匹偿螗豫濠‘タの端末機が四台並んだ壁際に目をやった。すべての機械に担当者が一名ずつつき、彼のほうに背中を見せていた。担当者は全員女性だ。四人のうち枺麟娮挨温毞蜃扭皮い毪韦嫌叶摔我蝗摔坤堡恰⒉肖肴摔纤椒摔坤盲俊1伺郡沥吓汕采鐔Tなのだ。
従来まで、この会社の特許情報はすべてマイクロフィルムに収められてきたが、今後はコンピュ郡呛唴gに検索が行えるよう、フロッピ钎%攻擞涘hされることになった。彼女たちは、その移し換えのために雇われていた。最近では、こうした派遣社員を利用する企業が増えてきている。人材派遣業は厳密にいえば職業安定法摺搐我嗓い瑵猡盲郡韦坤⑾趣喂幛欠ǖ膜苏J知された。だ